自然と人間の本当の共存を目指して

さとう有機農園 メイン看板

さとう有機農園株式会社は、完全無農薬野菜を栽培する有機農園です。

人が野菜を育てるという「人」メインの考え方ではなく、野菜自体が健康に生育する環境を人が整えるという、「人」ではなく「野菜(と自然)」を主体に物事を考えます。

適した気候と土地を生かして野菜を育成すれば、本来農薬は不必要であることを、実際の育成を通じて証明しています。

自然本来の力を発揮できる環境を整えることで、皆様が安心して食することのできるおいしい野菜を育てています。

有機野菜について

さとう有機農園 サブ看板

当園では、無農薬、有機栽培で旬の野菜を作っています。

全てが循環し、繁栄する農業が、次の世代にまで広がっていくことを希っています。

 

本当においしい野菜が当たり前に皆様の食卓に並ぶ日が来ることを願って日々農業にチャレンジしております。

農薬「0」ゼロ へのこだわり

【ポジティブリストの農薬も使っていません。】

ポジティブリストとは食品衛生法における制度のことで、特定の農薬に基準値を定め、その範囲内であれば使ってよいことになっています。

さとう有機農園では、そのポジティブリストにて、合法とされている農薬も含め一切の農薬を使っていません。

トマト ビニールハウス

踏み込み温床

踏み込み温床とは、落ち葉などを踏み込み、発酵させその熱を利用し夏野菜の苗を育てる昔ながらの農法の一つです。

さとう有機農園では、その土地にあった野菜の育成を目指しています。

地元の有機物(落ち葉)を活用することで踏み込み温床を行い、その土地の力を生かして無農薬野菜を育成しています。

有機野菜について

無農薬で野菜がしっかり育つのはなぜ?

その土地に適した野菜をつくり、自然循環に基づき野菜のための環境を整えれば、野菜は農薬が無くてもしっかり育ちます。

野菜自身が強く育てば、野菜本来の抵抗性もしっかり発揮してくれますので、害虫も寄り付きにくくなります。

また、さとう有機農園では、上記に加え太陽熱消毒や人の手で捕殺なども行い、徹底した無農薬野菜作りを推進しております。

有機野菜について

月刊『フォーNET』 2021年4月号

農業の意識改革─誰でも出来る有機農業を普及

有機農法で自然と作物と人の循環型社会を

 

佐藤俊徳氏 さとう有機農園株式会社社長(大分県宇佐市)

 

人々の健康志向の高まりで有機野菜、オーガニックが注目を集めている。無農薬、無化学肥料で栽培された野菜は、自然の力で野菜本来のおいしさを引き出す。佐藤さんは、その有機農法を三十年近く前から取り組んでいる。その農の実践と哲学とは─

 

 

 

化学肥料と農薬はセット

 

 

―有機栽培を本格的に始めたきっかけは?

佐藤 完全ではありませんが、父が有機栽培をやっていて地元の農協に卸していました。私が継いだ時、完全な有機栽培に切り替えました。当時はやっている人はほとんどいませんでしたね。作り手側も消費者も当時は今ほどオーガニックに対する認識はそう高くありませんでした。

―現在、有機JAS認定がありますね。

佐藤 平成十二年(二〇〇〇)に設けられました。それまでは有機栽培、オーガニック農家と名乗る人たちが多過ぎて、中には厳密ではないものも含まれていました。そこで、国が有機JAS法を施行して厳密にしました。私は最初から完全な無農薬、無化学肥料を目指しました。

―しかし、実際に無農薬は難しいとも聞きます。例えば、虫に作物が食われる被害などはどうやって克服したのですか。

佐藤 抵抗力が低下した人間が病気に罹ることと同じで、作物も対抗力が低下すると虫に食われてしまうと思います。作物は虫に食べられたくているわけではなく、健康で子孫を残したいはずです。虫から身を守るには、作物の身体から虫が来ないような化学物質を出していると考えています。その物質が出せないような環境に置かれた時に虫に食われてしまうと。つまり、免疫力が弱まると虫にやられてしまいます。

―免疫力が低下する原因が、化学肥料と農薬だというわけですね。

佐藤 化学肥料と農薬はセットになっていて、化学肥料を使うと虫が付きやすくなるから、それを駆除、予防するために農薬が使われています。負のスパイラルに陥っているのです。戦後の野業は品種改良を繰り返し生産性を向上させて食糧供給基地としての役割を担いました。しかし、そこには土壌など環境に負荷がかかりすぎるなどのリスクというか反動が大きかったのです。

最近のニュースで、農林水産省が化学肥料や農薬を使用しない有機農業の面積を二〇五〇年までに国内の農地の二五%にあたる百万ヘクタールまで拡大することなどを盛り込んだ新たな戦略の案をまとめたと出ていました。国内の有機農業の圃場は、約二万五千ヘクタールしかないのですが、これを四十倍以上に増やすことになります。また、二〇五〇年までに農薬の使用を五〇%、化学肥料を三〇%それぞれ削減する目標も定めています。これは脱炭素社会実現の一環です。

―それは心強いですね。

佐藤 本来あるべき循環型社会実現に期待したいですね。有機物が循環することで、私たちを含めた生命は循環しています。本来、地球上でこの営みが営々と続いていたのですが、それを人間の都合で化学肥料、農薬などで遮断してその仕組を変えてしまいました。それを本来あるべき姿に戻す必要があります。

 

 

作物と同じ目線で

 

 

―私が育った山村の田んぼからは農薬の臭いがしたものです。ところが、先ほどこちらの畑を見て歩いたのですが、土と堆肥の香りがしました。てんとう虫もいました。ここまでなるのには、かなり試行錯誤もあったのでは?

佐藤 最初はいろんな本を読んで試してみました。ところが、書いてある通りにはなりません。著者が頭の中で考えたことを書いていたのでしょうね。つまり、人間の浅知恵でしかないのでしょう。実際、自然界は人間が考えるほど単純ではありません。緯度、気温、気流、地形、降水量など自然の諸条件などが複雑に絡みあう中で人間も作物も生きています。その条件の中で最も適したあり方が問われます。人間は暑かったら冷房、寒かったら暖房がありますが、作物はそうはいきません。自然の状態の中で、作物を元気にさせるには、まず根を張らせることです。根を張らせることで作物の抵抗力がつくので、根が張るような土壌を作り、それぞれの作物にあった土壌を選ぶ必要があります。

―それが出来るようになるにはどれくらいかかったんですか?

佐藤 七、八年くらいかかりました。やはり、それまでは自分中心、つまり人間がコントロールできるものだと思っていたんでしょうね。試行錯誤を繰り返すうち、大きな自然界の中に自分も作物も存在しているんだという当たり前のことに気づきました。作物も人間と同等だと考えると、寒いとか温かいとか元気の有り無しなど作物に症状が出ていると思えば、私は作物を上から見るのではなく一歩下がって作物と同じ目線になるという感覚を持つようになりました。当然ですが、作物は環境で常に変わるはずです。例えば、畑の土は全て同じではありませんから、その畑に合う作物を育てています。

―やはり、土は作物が元気に育つには重要な環境条件なのですね。

佐藤 土質そのものも違いますが、土の歴史も違います。また、日向や日陰、水はけの良し悪しなど環境も違います。しかし、それに合う作物は必ずあるはずです。良い土とは、水はけが良くて保水力がある土で、団粒構造と言われています。その環境を作るには、微生物の働きが重要になります。そのためには、いろいろと条件がありますが、微生物が好む有機物が必要です

―土作りに必要な微生物も立地条件などで違うのですか?

佐藤 土一グラム中に一億から十億の微生物がいるといわれていますが、量も質も違います。気をつけなければならないのは、バランスです。人間、作物にとって良い菌、悪い菌と言いますが、それはあくまでもこちら側の都合ですから、できるだけ自然の形がいいと思います。作物を植えて状況を観察することから始まります。作物は素直に育ちますから、それを見ればどの土の畑が合うかも分かるようになりました。その見極めは、最初は試行錯誤で時間がかかりましたが、今はすぐに分かります。同じ葉もの野菜でもほうれん草と小松菜では育つ土が違います。キャベツと白菜も違います。白菜は根が小さいのでいい土が向いています。

―土づくりですが、種まきの前に何を入れるのですか?

佐藤 もみ殻、米ぬかなどを撒いたり、しいたけの菌床、腐葉土などは育苗培土にして有機物を補給します。現在、三十品目から四十品目を育てています。

―販売先は?

佐藤 作ることを専門でやってきたので営業をやったことが一度もありません。口コミで広がって、北海道から沖縄までお店や有機野菜を扱う業者など六十ヵ所ほどあります。最初は一反当たり百万円を目指していて、始めてしばらくしてその目標は達成しました。ちなみに全国一定ではありませんが、こちらではお米は生産者米価ベースで一俵一万二千円くらいです。一反で収穫されるのが八俵ですから、一反当たり九万少々です。

しかし、中にはピーマンで一反八百万円という農家もあります。これは当然、有機農法ではありません。いろいろ作っているとどうしても利益が出ずに苦しいですから、どうしてもピーマンなどの儲かる品目に集中する傾向があります。私は、あくまでも量ではなく完全有機農法という質で勝負したいと思っています。

 

 

有機農法は特別なものではない

 

 

―こちらの品目は日用の野菜ですね。

佐藤 有機農法は、農薬、化学肥料を使わないというだけで、特別な農法ではないと思っています。これが早くスタンダードになって誰もが有機野菜を食べられるようになってもらいたいと。ですから、売ることよりも作る技術をどう高めていくかにしか関心がありません。いかに楽に有機野菜を作れるかが普及のカギを握っています。作るのが難しいと言って付加価値をつけるのは簡単ですが、そんなに難しく考える必要はないのではないでしょうか。作物が伸び伸びと育つ環境を整えてあげるだけで十分だと思います。

いたずらに手間をかけ過ぎず、必要なところに必要なだけ手間をかければ、あとは勝手に育ちます。人と同じで育てるのに似ていて、過保護に育てるとひ弱くなります。何もしない、自然のままに育てた方が逞しくなります。

―要するにその作物に適した畑でできるだけ自然に育てるということですね。

佐藤 手間隙かけて付加価値をつけて売るというやり方が多いようですが、私はそれにはあまり賛同できませんね。やはり、工夫が大事です。難しいことを簡単にやれるようにするのが工夫だと思います。いつまでも「難しい」とそこで止まっているのではなく、簡単に出来るように進歩すべきなんです。そのためには育たない作物を無理やり育てようとせずに、環境に合っていて作りやすく栄養価が高いものを育てるべきでしょうね。

自然界というのは人間が考えている以上によくできています。例えば、ナスにアブラ虫がたくさん付いていると農薬を掛けて除去していますが、これではアブラ虫を捕食してくれるてんとう虫が寄り付かず、農薬を使い続けるしかありません。その結果、本来の自然を壊してしまっています。うちは、ナスにアブラ虫が付くとそれをてんとう虫が食べて除去してくれます。自然界の食物連鎖の環境さえ保てば農薬は要りません。自然に任せれば、いい作物が出来ることを体験から実感しています。農薬、化学肥料を使っていると、土はやせるばかりで農業資材をどんどん使うしかありません。それに対して有機農業は年数を重ねるといい循環を生み出します。年数が経てば経つほど作りやすくなります。

―販売の方法は?

佐藤 一般に市場に出す野菜は天候などでどうしても変動しますが、うちはある程度一定の卸売価格出荷しています。事務作業に負担がかからないようにするためです。その先の小売価格がどうなっているのかは知りません。

―消費者の立場からすれば、いつも買っているスーパーなどの店頭に安定した価格の野菜が並ぶことは、健康面、環境面にとって望ましいことだと思います。

佐藤 それが究極の目標です。人間だけが健康であり続けるということはありません。これまで人類が水、空気など自然界に対して負荷をかけてきたしっぺ返しが起きています。自分だけ健康に良い有機野菜を食べているというのはある意味自己満足に過ぎず、どんなに自己防衛しても空気や水などから逃れる方はありません。人間が本当の健康を取り戻すには、本来のあるべき自然から与えられる健康、つまり循環型社会に行き着くべきです。人間は自然の一部にしか過ぎませんから、自然全体が健康にならなければ人間も健康になれません。

 

 

作り手側の意識を変えるべき

 

 

―現在、若い人を雇用していますね。

佐藤 ベトナムからの技能実習生三名も入れて総勢八名の若い人が働いています。

―やはり、就農希望者ですか?

佐藤 かつてはそうした人を受入れていました。若者の就農に国も支援していますが、やはり本人の目的意識が必要です。青年就農給付金(現・農業次世代人材投資金)で七年間一人当たり年間百五十万円が給付されますが、お金の面で支援してもなかなか続かないですね。農業は、天候など日々変わる条件下でやるべきことがたくさんありますから、目的意識がしっかりしていないと、なかなか難しい。給付金をもらうことが目的になってしまっています。逆に、給付金がない時代の青年たちの方が就農して立派に営農しています。

―一年に七万人の就農者がいますが、その半分が一年で辞めていますね。

佐藤 実習生の受け入れ先の問題もあると言われますが、それよりも本人たちの意識に問題があると思います。本当に農業をやりたければ、貪欲にやらないと無理です。普通のサラリーマンの意識では農業はできません。実習を働かされているという意識では無理で、基本的な技術、知識を学ぶには時間や手間を惜しんでいては難しい。

―国の政策と農業を教える現場の間にギャップがありますね。

佐藤 国のお役人が実際に農業をやっているわけではありませんから、ギャップが生じるのは仕方が無いですね。農業は自然との闘いであり調和でもありますから、自然との向き合い方は頭だけでは分かりません。お金だけ出していれば就農できるものではありません。

ただ、先ほどの有機農業を促進する案も出てきていますし、持続可能な社会の必要性もクローズアップされてきています。若い人もその意識を持った人も多いようですので、頭でっかちにならないように農業にまずは体ごとぶつかって来て欲しいですね。

―最終的な目標は、有機農法が広く普及することですか?

佐藤 そう思ってやってきました。最終的には農業を変えたいと思っています。つまり、作り手の意識を変えるべきなんです。消費者意識を変えるという考えもありますが、消費者はどうしてもある物しか食べられず受身です。作る側が変われば、食べる物が全部変わります。農業が変われば、世界が変わるはずです。

 

 

 

 

佐藤氏プロフィール

昭和25年(1950)宇佐市生まれ。70歳。西日本短期大学造園学科卒業後、東村山市の鉢植用の花卉農家などで修行後、27歳の時に農事組合法人「ヤマギシ会」に参画、17年間所属する。その間、営農を学んだ。平成7年(1995)実父の死去に伴い45歳で帰郷し家業を継承する。現在、三十七ヘクタールの畑で営農年間売上は、4200万円。

 

(月刊『フォーNET』https://fornet.jimdofree.com/ 2021年4月号)

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会社概要

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会社名 さとう有機農園株式会社
所在地 〒879-0313
大分県宇佐市上高673番地
代表 代表取締役 平子 直行
TEL 0978-32-0734
FAX 0978-25-7020
経営規模 約3.5ha※うち施設25a
作付け品目 約40品目
※すべて無農薬野菜

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